１ 組織的な対応に向けて

(1) いじめ対策委員会
  ア いじめ問題の未然防止・早期発見のための「いじめ未然防止・早期発見に係る委員会」《定期開催》を組織する。
    (ア) 委員
      校長、副校長、主幹教諭、教務主任、学年主任、児童指導主任・生徒指導主事、養護教諭、教育相談担当、学年主任、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー。
    (イ) 実施する取組
      a 未然防止対策
        (a) いじめの未然防止に向けての全体指導計画の立案
        (b) 全体指導計画の実施状況の把握と改善
        (c) いじめに関する意識調査
        (d) 集団を把握するための調査の実施と結果の分析共有
        (e) いじめ相談窓口の設置と教育相談体制の評価
        (f) 校内研修会の企画・立案
        (g) 要配慮児童生徒への支援方針決定 等
     b 早期発見対策
        (a) いじめの状況を把握するためのアンケートの実施と結果の分析共有
        (b) 情報交換による児童生徒の状況の把握と情報の共有 等
     (ウ) 取組の改善
      本委員会において、「あそ野学園義務教育学校いじめ防止基本方針」を始めとしたいじめの問題への取組が計画的に進んでいるかどうかの評価等を行い、学校の取組が実効あるものとなるよう改善を図る。
     (エ) 児童生徒指導委員会との関係a  毎週金曜日１校時の児童生徒指導委員会では、必ずいじめ問題の防止、発見、連絡を行う。
  イ   いじめが起きたとき、あるいはいじめの疑いがある事案が発生したときの対応のための「いじめ認知時の対応に係る委員会」《随時開催》を組織する。
     (ア) 委員
       校長、副校長、主幹教諭、教務主任、学年主任、児童指導主任、生徒指導主事、養護教諭、教育相談担当、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、該当児童生徒学年主任及びクラス担任。
     (イ) 実施する取組
       a 調査方針、分担等の決定
        (a) 目的の明確化
        (b) 行動の優先順位の決定
        (c) 関係のある生徒への事実関係の聴取
        (d) 緊急アンケートの実施
        (e) 保護者への連絡（複数の教員で、丁寧に対応する）
        (f) 佐野市教育委員会への報告
        (g) 関係機関への連絡（必要に応じて、警察、福祉関係、医療関係等）など

       b 指導方針の決定、指導体制の確立
        (a) 学校、学年、学級への指導、支援
        (b) 被害者、加害者等への指導、支援
        (c) 観衆、傍観者等への指導、支援
        (d) 保護者との連携
        (e) 佐野市教育委員会との連携
        (f) 関係機関との連携
        (g) 地域（児童委員、民生委員等）との連携
(2) 校内研修
  ア いじめに関する全教職員対象の校内研修会を年１回以上実施する。
  イ いじめに関するチェックリスト（教職員用）を用いた自己診断を実施する。
 

２ いじめの未然防止に向けて

(1) 計画的な指導
  ア 学校組織としてのいじめの問題への取組についての評価を年１回以上実施し、速やかに評価結果に基づいた改善を図る。
  イ 年間１２回のいじめアンケートを実施する（１１回は記名式、１回は無記名）
  ウ 定期相談の実施、チャンス相談の実施
  エ 相談は担任だけに限らず、養護教諭、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを活用し、相談しやすい環境をつくる
  オ 児童生徒会を中心に「ストップいじめ」宣言を作成する。
(2) いじめの起こらない学校づくり
  ア 道徳教育、特別活動、人権教育など様々な教育活動の指導計画の中にいじめのない学校づくりに向けた指導を位置づけて、組織的かつ計画的な指導に努める。
    (ア) 学業指導の充実
      a  「帰属意識の高い学級」「規範意識の高い学級」「互いに高め合える学級」を目指し、学びに向かう集団づくりに努める。
      b  「自信をもたせる授業」「コミュニケーション能力を育む授業」「一人一人の実態に配慮した授業」を目指し、一人一人が意欲的に取り組む授業づくりに努める。
    (イ) 道徳教育の充実
      a  道徳教育を充実させることにより、豊かな心を育み、人間としての生き方の自覚を促し、生徒の道徳性を育成する。
      b 「とちぎの子どもたちへの教え」を活用し、人として、してはならないこと、すべきことを教え、人としてよりよく生きるための基盤となる道徳性を育成する。
    (ウ) 特別活動の充実
      a 特別活動の特質である望ましい集団活動を通して、人間関係を築く力を育てる。
      b  生命や自然を大切にする心や他人を思いやる優しさ、社会性、規範意識などを育てるため、自然体験活動や宿泊体験学習など様々な体験活動の充実を図る。
      c  児童生徒会活動において、校内でいじめ根絶を呼びかける運動や、生徒同士で悩みを相談し合うなど、生徒の主体的な活動を推進する。
    (エ) 人権が守られた学校づくりの推進
      a  児童生徒一人一人が、自他の人権の大切さを認め合うことができるよう、様々な場面を通してしっかり指導する。
      b  自らの言動が生徒を傷つけたり、他の児童生徒によるいじめを助長したりすることがないよう、教職員一人一人が人権感覚を磨くとともに、指導に細心の注意を払う。
      c  いじめをさせないという人権に配慮した学級の雰囲気づくりを心がけるとともに、自分たちで人間関係の問題を解決できる力を育成する。
    (オ) 保護者・地域との連携
      ａ ＰＴＡと協力して保護者を対象とした「いじめ防止教室」等を実施し、「学校いじめ防止基本方針」について周知するとともに、いじめの問題について保護者とともに学ぶ機会を設定す る。
      ｂ 学校のホームページ等を通じて、保護者・地域に対し「学校いじめ防止基本方針」を周知する。
      ｃ 学校評価を活用するなど、「学校組織としてのいじめの問題への取組」について、改善を図る。
      ｄ 地域の民生委員さんと会議を実施する。
       e 地域連携推進協議会を実施する。
(3) 指導上の留意点
  ア 「いじめられる側にも問題がある」という認識や発言はしない。
  イ 発達障害を含む障害のある児童生徒に対しては、適切に理解した上で指導に当たる。
(4) ネットいじめへの対応
  ア 携帯電話、スマートフォン等は、校内での使用を禁止する。
  イ 佐野市としての、携帯電話を夜９時以降使用させない運動、家庭でのルール作りを遂行する。保護者に啓発する。
  ウ 教科情報（技術・家庭）やＬＨＲ（学級活動）等を活用し、児童生徒一人一人に対して、インターネットのもつ利便性と危険性をしっかり理解させながら、情報機器の適切な使い方について指導 する。特に、以下の点について重点的に指導する。
    (ア) 掲示板やプロフ、ブログ等に個人情報をむやみに掲載しないこと。
    (イ)  ＳＮＳ（ソーシャルネットワーキングサービス）などインターネットを介した他人への誹謗・中傷を絶対にしないこと。
    (ウ) 有害サイトにアクセスしないこと。
    (エ) 利用については、保護者が責任をもつ。
    (オ) 自分自身で、トラブルの対処法を学び、利用のルールを作成する。
  エ  家庭における情報機器の使用について、保護者と協力して適切に指導ができるよう啓発に努めるとともに、ＰＴＡと連携して情報機器に関する研修会を実施する。
 

３ いじめの早期発見に向けて

(1) 早期発見のための認識
  ア 些細な兆候であっても、いじめではないかとの疑いをもって、早い段階から複数の教職員で的確に関わり、いじめを軽視したり、隠したりすることなく、いじめを積極的に認知する。
  イ 日頃から、児童生徒の見守りや信頼関係の構築等に努め、児童生徒が示す小さな変化や危険信号を見逃さないようにする。
(2)  早期発見のための手立て
  ア 児童生徒が気軽に相談できる体制を整備するとともに、様々な悩みに適切に対応し、安心して学校生活を送れるよう配慮する。
  イ 毎週１回「学年情報交換会」を設定し、気になる児童生徒の情報を共有し、組織的に対応できる体制を整える。
  ウ 教育相談週間を学期に一度設定する。
  エ 教職員とスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが情報を共有できる体制を整える。
  オ 児童生徒が安心していじめを訴えられるような「いじめの実態を把握するための調査」を工夫し、定期的及び随時実施する。
  カ 保護者にも十分理解され、保護者の悩みにも応えることができる教育相談体制を整える。
  キ 児童生徒、保護者にいじめの相談・通報窓口を周知することにより、相談しやすい体制を整える。また、いじめに悩んだときの相談方法について、リーフレット等（別添参照）を作成配布し、周知する。


４  いじめの早期解決に向けて

(1)  早期解決のための認識
  ア いじめられた児童生徒や保護者に対し、徹底的に守り通すことや秘密を守ることを伝え、できる限り不安を取り除くとともに、安全を確保する。
  イ いじめた児童生徒に対しては、毅然とした態度で指導し「いじめは絶対に許されない」ということを理解させるとともに、自らの行為の責任を自覚させる。
(2)  早期解決のための対応
ア いじめ対策委員会（いじめ認知時の対応に係る委員会）が中心となり、関係のある児童生徒への聴取や緊急アンケートの実施等により、事実関係について迅速かつ的確に調査する。その際必要に応じて、佐野市教育委員会から派遣を受けるなどにより、外部専門家とも連携をとる。
(3) 児童生徒、保護者への支援
  ア いじめられている児童生徒の保護者及びいじめている児童生徒の保護者に対し、速やかに事実を報告し理解を求めるとともに、いじめの事案に係る情報を共有する。
  イ 双方の保護者に対し、いじめの早期解決のための協力を依頼する。
  ウ いじめが解決したと思われる場合でも、継続して十分な注意を払い、必要な指導・援助を行う。
  エ いじめを解決する方法については、いじめられた児童生徒及び保護者の意向を踏まえ、十分話し合った上で決定する。
  オ いじめた生徒が抱える問題など、いじめの背景にも目を向けながら、当該児童生徒が二度といじめを起こさないよう、継続的に指導・援助する。
  カ いじめた児童生徒が十分反省し行動を改めることができるよう、学校と保護者が協力して指導・援助に当たる。
(4) いじめが起きた集団（観衆・傍観者）への働きかけ
    ア いじめの問題について話し合わせるなど、児童生徒全員に自分の問題として考えさせ、いじめは絶対に許されない行為であり、見逃さず根絶しようとする態度を行き渡らせるようにする。
  イ はやし立てたりする行為は、いじめを助長するものであり、いじめと同様であることを指導する。
  ウ いじめを止めさせることはできなくても、誰かに知らせるよう勇気をもつように伝える。
(5) ネットいじめへの対応
  ア ネットいじめを発見した（情報を受けた）場合には、いじめ対策委員会で情報を共有するとともに、教育委員会と連携しながら当該いじめに関わる情報の削除等を求める。
  イ 児童生徒の生命、身体または財産に重大な被害が生じる恐れがあるときは、直ちに佐野警察署に通報し、適切に援助を求める。
(6) 警察との連携
  ア いじめが犯罪行為として取り扱われべきものであると認めるときは、佐野警察署と連携して対処する。
(7)  解決後の継続的な指導・援助に向けて
  ア  単に謝罪のみで解決したものとすることなく、継続的に双方の児童生徒の様子を観察しながら、組織的に指導・援助する。
  イ 双方の児童生徒及び周りの生徒が、好ましい集団活動を取り戻し、新たな活動に踏み出せるよう集団づくりを進める。


５ 重大事態への対応

(1) 佐野市教育委員会に報告するとともに、佐野警察署等の関係機関に相談・通報し、適切な援助を求める。
(2) 佐野警察署への相談・通報にあたっては、次の通知・協定書・実施要領を踏まえる。
  ア 「早期に警察へ相談・通報すべきいじめ事案について」文科初第２４６号 平成２５年５月１６日
  イ 「児童生徒の健全育成のための学校と警察の連携に関する協定書」佐野市教育委員会・佐野警察署 平成１８年１月２５日
  ウ 「児童生徒の健全育成のための学校と警察の連携に関する協定書」実施要領 佐野市教育委員会・佐野警察署 平成２５年３月 １日
(3)  当該いじめの対処については、佐野市教育委員会と連携し、弁護士、医師などの外部専門家の協力を仰ぎながら、原則として本校のいじめ対策委員会（いじめ認知時の対応に係る委員会）が中心とな り、学校組織を挙げて行う。
(4) 当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査については、佐野市教育委員会と連携しながら、学校組織を挙げて行う。
(5) いじめられた児童生徒やその保護者及びいじめた児童生徒やその保護者に対し、調査によって明らかになった事実関係について、経過報告を含め、適時・適切な方法により、その説明に努める。
(6) 当該児童生徒及びその保護者の意向を十分に配慮した上で、保護者説明会等により、適時・適切に全ての保護者に説明するとともに、解決に向け協力を依頼する。
(7) いじめ対策委員会（いじめ未然防止・早期発見対策に係る委員会）を中心として速やかに学校としての再発防止策をまとめ、学校組織を挙げて着実に実践する。